【書評】カミーノ!女ひとりスペイン巡礼、900キロ徒歩の旅

書評

私は考え事や悩み事があると、よく散歩しています。ちょっとカッコつけて言うと「思索にふける」って感じでしょうか。

とはいえ、歩き始めこそ、いろいろ考えごとをしますが、風景を眺めながらひたすら歩いているとだんだんと頭の中が空になっていく感じがするのです。

運動にもなって血の巡りがよくなるせいか、ちょっと気分が軽くなる感じが好きなんですね。

どこかに行くためというのではなく、ただ「歩く」ために「歩く」という行動は単純なように見えてすごく奥が深いと思う。もし、それが900キロ歩けば・・・

それはそれは、人生が変わるほどなんでしょうね。今回読んだ本は、そんな本です。

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巡礼の旅

カミーノ・デ・サンティアゴとは、スペイン西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラというキリスト12使徒のひとりヤコブが眠る教会を目指して歩くという巡礼の旅です。まあ、お遍路みたいなもんでしょうか。

その距離はスタート地点で違ってきますが、今回の筆者が歩いたのは900キロのコース。900キロといえば、東京から福岡とほぼ同じです。それをすべて徒歩で踏破するのですから、なんと長い「散歩」でしょう!

筆者の森知子氏がカミーノに行った理由は、イギリス人夫との離婚(正確には夫に出て行かれた。カミーノ後に正式に離婚)

家庭も仕事もうまくいかないというメンタルずたずたの中、人生を変えるためにカミーノに挑戦したんですね。結局44日かけて踏破するのですが、本書では「○日目」という形で1日ごとに日記をつけていくスタイルで構成されています。

トラブルといろんな人たち

以前に、テレビでカミーノのことを見たことがあって興味を持っていたのですが、テレビではわからなかった実態がよくわかりました。

【人はなぜ歩くのか?】聖なる巡礼路~カミーノ・デ・サンティアゴ1500km
の道は、なんと1500kmにもなり、全行程を徒歩で踏破しようとすれば2カ月以上かかるという果てしない旅でもあるのです。この番組では、この巡礼に参加した一人の日本人男性の目を通じて、この巡礼の旅をしている様々な人々、国籍も、肌の色も違う様々な人々が、なぜこの過酷な旅をしているのかを見つめる内容となっていました。

巡礼者は「アルベルゲ」という宿舎に泊りながら歩くわけですが、2段ベットがぎゅうぎゅうに並べられ、イビキが響き渡るなかで寝ないといけなかったり、ベットにダニがいて全身かゆみに悩まされたりと、なかなかのハードモードです。

もちろん、毎日20~30キロ歩くので肉体的にもあちこちが痛くなるみたい。

それだけに達成すれば人生観が変わるのもさもありなんというところ。修行なんですね。

と、よく考えてみればわざわざこんなことをするのは、物好きな人に違いなく、本書に登場する巡礼者たちもなかなかのクセモノばかりです(なぜか離婚した人が多いし、ローマからスペインまで徒歩で歩いている人もいる!)

めちゃくちゃしんどい状況なはずなのに、文章にそれがあまり感じられないのは筆者がこうした「変な人」たちとのやりとりを愉しんでいるから。最後のほうは、カミーノが終わるのがイヤになるくらいカミーノにはまっています。

逆に、こうした状況が好きでない人はあまりカミーノには向いていないかもしれませんね。

自分には無理だなあと思いましたので、本で読んで気分を味わうくらいでいいかな・・・ときどき気持ちいい疲れが残る程度に歩きたいと思います。