【書評】「イヴの7人の娘たち」遺伝子で辿る人類の遙かなる旅路

書評

今回は、「イヴの7人の娘たちー遺伝子が語る人類の絆」をご紹介したいと思います。

著者のブライアン・サイクス氏は、スタンフォード大学人類遺伝学の教授です。古代人骨からDNA採取の成功や、ミトコンドリアDNAによる人類の系図の解明を進めた人物です。

この著書では、主に「ミトコンドリアDNA」によって、人類の遙かなる旅路を明らかにしていきます。

ロシアの森の中で見つかった家族の人骨は、ロシア革命で処刑されたとされるロマノフ王朝の皇帝一家のものなのか。

ポリネシア人(太平洋諸島の人々)はどこから来たのか。アジアから来たのか、それとも南米大陸から来たのか。

ネアンデルタール人は、どこへ消えたのか。

ヨーロッパ人の祖先は狩猟採集民族か、それとも中東から侵入した農耕民族か。

こういった謎が「ミトコンドリアDNA」によって明らかにされていきます。人類はどこから来たのかーそれを明らかにしていくと、我々の祖先が辿った遙かなる旅路が見えてきます。

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ミトコンドリアDNA

この本でのキーワードは「ミトコンドリアDNA」です。詳細は本書に譲りたいと思いますが、簡単に言うと「母から子へ」受け継がれるDNAです。父親からは遺伝しません。

ですので、自分の持っているミトコンドリアDNAは遡って行けば、母親の母親の母親の母親の・・・と延々と母親から受け継いできたものになります。

普通のDNAと違って、母親のものしか受け継がないので、基本的に母親とまったく同じミトコンドリアDNAを受けつぐことになるのです。

こうしてミトコンドリアDNAを辿っていけば、母系祖先を辿ることができるのです。もし、ある人とある人が同じミトコンドリアDNAを持っていれば、過去のどこかに共通した母系祖先にあたる女性がいることになります。

また、基本的にまったく同じミトコンドリアDNAを受け継ぎますが、ときどき突然変異が起こります。この突然変異の数を数えることで、どれくらい昔に枝分かれしたのかを推測することができるのです。

現代ヨーロッパ人は7人の女性に辿りつく

そうした研究をした結果、現代ヨーロッパ人の95%の祖先は、7人の女性に遡ることができるのです。

これが表題となっている「イヴの7人の娘たち」というわけです。ヨーロッパ人の持っているミトコンドリアDNAは大まかに7種類の系統に分類されるということですね。

たった7人です。著者は7人の名前を付けていて、「アースラ」「ジニア」「ヘレナ」「ヴぇルダ」「タラ」「カトリン」「ジャスミン」としています。

驚くべきことに、これらの女性が生きていた時代や地域もおおよそ特定されているのです。1万年から3万年くらい前ですけど。

本書では、それぞれの女性が生きた時代を物語風に想像しています。具体的な名前や生活ぶりが描写されることで、本当に実在した人たちという感じがしてきます。氷河期の厳しい環境を必死に生き抜いた人たちが確かに存在したのです。

もちろん、その時代にほかに女性がいなかったわけではありません。ただ、ほかの女性の系統は子供が生まれなかったとか、男の子しか生まれなかった(ミトコンドリアDNAは女性経由でしか次世代に受け継がれない)ことで、どこかで途絶えてしまったのです。

たった7人というのは驚きですね。3万年くらい遡れば皆親戚ということです。

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すべては「ミトコンドリア・イヴ」から

さらに驚くべきことに、全世界に散らばっている人類は、先ほどの7人を含めて35の系統に分類することができるそうです。

日本人も実は95%は、9人の「母」までさかのぼることができるらしい。

そして、どんどん遡ればアフリカにいた世界全体の母「ミトコンドリア・イヴ」まで遡ることになります。

彼女は、世界中に暮らす60億人1人ひとりに母系祖先の根本に位置する。われわれはみな、彼女の直接的な母系子孫なのだ。

ミトコンドリア・イヴが生きたのは、15万年前のアフリカです。イブの母系列だけがとぎれることなく現在まで続いているのです。

かつてアフリカにいた人類は、その後15万年の時をかけて、アフリカを出てヨーロッパ、アジア、北米、南米、オセアニアへと移動していったのです。

我々のDNAには、人類が辿った遙かなる旅路の記録が刻まれているのですね。人類はどこから来て、そしてどこに向かうのか。想いを馳せてみるのも悪くないかもしれません。

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